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第11章 ホンモノ

武井さんは食事の前に洋服を着替えてきて。
シンプルなボーダーのカットソーにデニム姿で戻ってきた。
カジュアルな洋服もすごくカッコよかった。

頂いたお料理もすごく美味しくて、みんながあったかくて、テーブルマナーも、ワンピースの丈のことも忘れてしまうほど、楽しいひとときを過ごせた。

お母様はしきりに本当は娘が欲しかったから、早くお嫁さんになってくれればいいのに、なんて言っていて、私も武井さんも反応に困った。

エシレのアイスとオムレットもデザートに頂き、両方ともバターをふんだんに使っているはずなのにしつこくなくて、すごく美味しかった。
並んででも買う価値はある逸品だった。

食事とお茶と談笑で、2時間ほどが経過し、気付けば午後3時。

武井さんは私にアイコンタクトをすると、立ち上がる。

「そろそろ彼女、送って行くよ。久々だし、積もる話もあるから、遅くなる。夕飯は要らないから。」

「祥悟、休まなくて大丈夫？車乗るなら運転は気をつけなさいよ？」

「わかってる、行ってきます。」

そうして、私はご自宅を失礼した。