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遅咲きのタンポポ
第12章 告白
私みたいに、何も持ってない人間からすれば、武井さんのルックスや家柄みたいな、欲しいと思っても手に入らないものを労せずして得てるって時点で、それは幸せなんだと思ってた。
持たざる人間には、持てる人間の悩みは、贅沢に感じるだろう。
だけど、贅沢だろうと悩みは悩みで。
武井さんが、誰にも理解されない苦しみを抱いて生きてきたんだと思ったら、悩みなんてない、お坊ちゃんなんて思ってしまったことを、申し訳なく思った。

私の目からも涙が溢れて。
気付いたら、
「ごめんなさい…」
と謝っていた。

「なんで沙織ちゃんが謝るの?」

「私、武井さんのこと、誤解してました。2年前、武井さんと離れる時に、武井さんからのアプローチに気付けなかったのは、自分に自信がなかったからです。
だから、自分に自信が持てるように、2年間、自分を精一杯磨こうと努力して。
以前よりは、自信が持てるようにもなったんです。
でも、武井さんのご実家のこと聞いて、靴買って貰ったりした時、急に自分の自信が付け焼き刃な気がしてきちゃって。頑張ったって私なんか高が知れてるって、また卑屈になっちゃって…酷いこと言って武井さんを傷付けました。今の話聞いて、私には分からない、武井さんの悩みがあったんだ、って思ったら、なんか、申し訳なくて…」
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