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飼育✻販売のお仕事
第4章 従業員面接②・ゆめかわ実業家令嬢〜りつき〜

 こんな、絵本にまみえる女王のような女性でも、労働階級に甘んじて位置づいているものなのか。


 りつきが里子にいだいた第一印象は、意外性、それに尽きた。


 親友と入れ替わりに面接会場に至り、りつきは生まれて初めての就職活動を経験していた。

 ペットショップ「ふぁみりあ」では、小動物や魚類の他に、人間が取り扱われているという。正面エントランスから入ってきたりつきには、噂のケージは見つからなかった。
 獣独特の匂いと鳴き声。幼い頃に連れられた、動物園のふれあい広場を彷彿とした。だが、レジ台の近くでモップをかけていた店員は、見たところりつきより年下だった。


「○○附属中学、高校を卒業後、○○大学人文学部服飾歴史学科入学、卒業。結野さんとは大学で知り合ったのね。その頃から一緒に暮らしていたの?」

「いいえ、先月です。私が親と喧嘩して出てきたところ、伊澄ちゃんくらいしか寝泊まりさせてくれそうな人が思い当たらなかったので」

「そう。ね、新崎さん、……」


 里子が履歴書から顔を上げた。

 華やかな肉体に見合わずなかなか清楚な顔の女は、先刻から頻りとりつきを観察している。



 パステルピンクのツインテールに、トレンドのピンクと青のカラーメイク、そして至るところにレースのあしらってあるセーラー服でめかし込んだりつきは、頭の天辺からつま先まで、一切の妥協も許すことなくアクセサリーで飾り立てていた。

 俗に言うゆめかわファッションだ。庶民には理解し難いセンスらしい。
 里子のように好奇の目で見澄ましては、りつきに失笑ともとれる無礼な態度を向ける人間は、とりわけ地元に掃いて捨てるほどいた。
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