この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
飼育✻販売のお仕事
第5章 採用祝いと王子になり損ねた王子〜浩二〜

 …──お嬢さんを僕に下さい。


 タキシードで決め、運命の人だと疑わなかった少女を伴い切願した馬沢浩二(うまざわこうじ)に、未来の義父は言った。


 娘はやれん。


 義父の隣ですましていた、未来の義母が続けた。


 ごめんなさいね、これからもりつきと仲良くしてやって頂戴。…………





 浩二がりつきと交際を始めたのは七年前、高校に入って二年目のクラスが同じになった初夏のことだ。

 学生時分、浩二は少女漫画に傾倒していた。

 話せる相手がいなかった中、りつきは稀少な同志だった。漫画を貸し合い、休み時間ごとに感想の交換や真似事に耽る内に、互いを意識し出したのである。


 浩二くんって、○○に似てるね。


 二人の最も気に入っていた連載漫画のヒロインの相手役を指して、ある時りつきが浩二に言った。

 確かに浩二の容貌は、少女漫画に描かれる特性を含んでいた。やわで細くて中性的。卒業後、校則に囚われない長さにまで伸ばした髪を染色した時は、いよいよ少女漫画が憑依したのかと友人達がからかったほどだ。

 件の漫画の最終話が世に送り出された新刊発売日、浩二は決断をした。


 好きです。


 例の相手役を気取った浩二に、りつきもまた、ヒロインを倣った。



 大人になり、浩二もりつきも、少女漫画を離れた。だが、同じ趣味で馴れ初めた若い恋人達は、それなくしても話は尽きなくなっていた。

 就職して四年が経つ。

 浩二はディスカウントショップの店舗責任者を任された。りつきに見合う人間になり、実業家令嬢を不自由させないだけの力は蓄えられたはずだった。
/268ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ