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はじめの一歩
第5章 Piece of memory ー記憶の欠片ー
別れよう。

お父さんとお母さんにもきっと怒られるだろうけど。
真剣に恋した結果なの!ってきちんと説明して、未婚の母になろう。

そして、順一が、社会人になって、何年かしたら…その時に順一に、彼女が居なかったら。
貴方の子供なの、って。
認知してくれるとは限らないけど。
順一の性格なら、結婚してくれる、かも知れないし。
一方的に別れるなんて言ったら、怒って他の人に走っちゃうかも知れないけど。
もし、そうだとしても、おろすという選択は、したくない。

会社に半休の連絡を入れて許可を取り、市役所で母子手帳の発行をして貰う。

午後から出社して、仕事をしてたら、3時ごろ、携帯が鳴る。
デスクでこっそり確認。
順一からLine。
トイレに立つ振りをして携帯をポケットに突っ込み、席を立つ。
アプリを立ち上げると。

『仕事決まった✌︎ 今日会える⁉︎』

そっか。よかった。春から社会人、なんだね…
「OK.」スタンプと、
『私も話あるし』

と手早く打ち込み送信する。クイックレスポンスで、

『PM6:00.いつものスタバで。』

と返ってきた。
これで、順一との関係が終わると思うと、すごく切ない。
でも、終わらせなきゃ。
新社会人の船出を、私が邪魔しちゃ、いけない。
大好きな、順一だから。
足枷に、なりたくない。

「OK」スタンプを返す。
涙が溢れそうになるのを堪えて上を向き、目元にグッと力を入れた。深呼吸して、個室を出る。
鏡で顔をチェックして。

よし、目は潤んでないし、メイクも崩れてない。

大丈夫!

と気合を入れて。
私は自席に戻った。







ーfinー






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