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他人の妻、親友の夫
第6章 超える一線
海晴は気怠そうに腰を抜き、掴んでいた脚をそっと離す。

側臥位だった彼女は支えがなくなったことでうつ伏せに崩れた。
その視線は快楽を与えてくれた男ではなく、襖の向こうから見守ってくれた夫に向けられていた。

泣きそうな理依の顔と寂しそうに微笑む秋彦の顔。

『これがあんたの望んだ結果なのか……』

苦い後味の悪さが海晴を蝕む。

溜まった白濁は早くも熱を失い生温く不快に感じていた。

これは望まれてしたことだ。
それは志歩だって受け入れてたはずだ……

言い訳がましく妻に目をやる。

「っっ……」

志歩は涙目で微笑み頷いていた。
それがどういう意味なのか、海晴には分からない。
しかし非難がましく睨まれる方が、気分的にはましだったことだけは間違いなかった。


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