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他人の妻、親友の夫
第1章 禁断の目醒め
狂気の毒気に冒され、変な熱さを覚えてしまう。
理依の乱れた姿など視たくない。
はっきりとそう拒絶しているが、視線はまたあちらのテントへと泳いでしまう。

「様子を見てきます」
「えっ……」

秋彦はそういうと立ち上がった。

「志歩さんは無理しないでください」

理依の痴態を視るということは、当然夫の痴態を視ることになる。
それがどれほど残酷なことか、秋彦にも分かっていた。

彼は答えを待つことなくテントを出ていってしまう。
あちらのテントではボヤけた灯りが大きく緩やかに揺れ始めていた。


--あの中で、なにかが始まっている……


志歩は憑かれたように立ち上がった。
運動もしていないのに心臓は激しく脈打っている。

もはや逃れられない狂宴は始まってしまっている。

河原に転がる石に足許を取られながら、彼女もあちら側のテントへと歩を進めていた。

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