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他人の妻、親友の夫
第8章 視欲の目醒め
そして驚いたことにその母のお尻を平手で激しく叩いた。

ビシンッと空気を震わせる音と共に母親は「あぁっ……」と呻く。
秋彦は思わず目を瞑って顔を背けた。

『母さんをぶつなんてっ……』

無意識で手のひらを握る。
はっきりと男に対する殺意が芽生えた。
しかし次の瞬間、驚愕の言葉を聞く。

「も、もっとっ……もっと強くっ……強く叩いてっ……」

痴れた母の声に握っていた拳がほどけた。
拳だけではない。全身の力が抜けた。

『母さんっ……?』

それは彼の知る母ではなかった。
悦びを享受する一体の雌だ。
顔には息子に見せたことのないところにしわを作っていた。

『雌しべと雄しべがくっついて受粉して……』などという静けさはない。
愉しむだけの穢らわしく、肉体的で、浅ましく不潔な交わり。
こんな母の姿など見たくなかった。
それなのに秋彦はその場を動けなかった。
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