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他人の妻、親友の夫
第2章 欲望の渇き
「ごめん……志歩……」

口の中の粘りをそっとティッシュに吐き、理依が謝った。

夫が自分の親友の口に放ってしまったショックは簡単に拭えるものではない。

青ざめた表情のまま立ち上がりテントから出ていく。
そのあとを理依が追った。

「志歩っ……」

更に追おうとした海晴の肩を掴んだのは秋彦だった。

「ここは……理依に任せてみよう……」

そう諭され、彼は腰を落とした。
確かに今妻を追いかけてもなんと言葉をかけていいか分からない。

罪悪感に圧されながら、自分は被害者であると思い込もうとしていた。

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