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他人の妻、親友の夫
第1章 禁断の目醒め
この人も冗談なんて言うんだ。

志歩は驚きながら秋彦を見詰めた。

「僕達は結婚六年目だけど未だに子宝に恵まれていない」

冗談とは思えない口調で彼は続けた。

「そういった刺激を与えたら、なにか変わるかもしれないと理依さんとも話していたところなんです」

秋彦は妻にも『さん』を付けて呼ぶ。
理依は「ちょっと……」と咎めながら夫の膝を軽く叩いた。

「あ、いや……その……ははは」

言った本人の海晴もなんと返していいのか分からず、複雑なひきつり笑顔を浮かべている。

秋彦は生真面目そうな顔を更に引き締めて海晴を見詰めていた。
その視線はあくまでダンサーの彼にしか向けられておらず、その妻である志歩には向けられていなかった。
それで志歩も彼が疚しい気持ちでそんなことを言ってる訳じゃないことは理解できた。
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