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他人の妻、親友の夫
第3章 嫉妬と憧憬
正直これまで海晴は秋彦のことを男として侮っていた。

遥かに歳上の彼は、学者という知識人らしく知的でスマートで大人しいというイメージがある。
社会的地位を考えればもちろん海晴とは雲泥の差があったが、男としての魅力には欠けていると感じていた。

知性ある顔立ちは凛々しくもあるが、男の割りに青白い肌や、細い身体は逞しさの欠片もない。
日々トレーニングをし、引き締まった肉体を持つ海晴とは真逆といえた。

『あの人にあんな一面があるとは……』

妻を責めるときの秋彦の鬼気迫る姿など、想像もしないことだった。
秋彦の幻影を消し去るように、海晴はいつもより激しくトレーニングで汗を流していた。



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