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他人の妻、親友の夫
第3章 嫉妬と憧憬
「うわっ!?……へへ……海晴……」

抱きつかれた志歩はおどけた声を出してキスをする。
彼女はいつ海晴に求められても従う。

それが当たり前となってしまった今では、有り難みも忘れかけていた。

「志歩……」

海晴が舌を伸ばすと心得た彼女も舌を絡めてくる。
夜勤で疲れていようが夫婦の愛を育むことを厭わない。

海晴と志歩が出逢ったのは地域の祭りである。
看護師の仲間が集まりよさこいを踊ることになり、その講師としてやって来たのが海晴であった。

踊っているときは妖艶なほどに美しいのに、普段は少年のような無邪気さがある海晴は、看護師達をすぐに虜にした。
しかもその端正な顔立ちに不釣り合いな筋肉をまとったしなやかな身体に、抱かれてみたいと願うものも少なくなかった。

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