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瞳で抱きしめて
第3章 どこまで落ちていくの?
すっかり慣れた樹理さんの歩幅。


樹理さんは寒がりなのか、こんもりと着こんで暖かそうなムートンブーツをはいている。


しかし、歩く歩幅やペースは夏の頃と変わっていない。


俺達はいつものように、神社を目指した。




「初詣の準備されてるかな」



「きっともう済んでますよ」



「光もいつも初詣はあそこに行くの?」



「そうですよ」



「同じだね」



「もしかしたらすれ違ったことあったかも知れませんね」



こうやって何気ない会話の間も、樹理さんを目で追っている。


不意に目線が絡み合うことがあって、そんなときには胸が熱くなって大変だった。



「光、背伸びたね」



ふと、樹理さんが足を止めた。

俺も止める。


その言葉に改めて彼女に目線を合わせると、そういえば初めて出会ったときには少し上にあったはずの樹理さんの目線は、今はほぼ同じ位置にあった。



「やっぱ成長期の男の子はぐんぐん伸びるんだね」



面白そうに笑いながら、樹理さんが一歩近づき、自分の頭の上においた手を垂直に俺の頭頂にスライドさせた。

その手は俺の額の少し上をかする。



「あれ?光のほうが高いね」



追い越されたかーとのんびり笑う樹理さんの吐息が頬にかかり、その時俺の脈拍は明らかに高くなったと思う。


すぐにくるっと向きをかえて何事もなかったかのように樹理さんはまた歩き始めた。



「行こ」



振りかえる笑顔はとてもキレイで、眩しかった。




俺はどこまで、この恋に落ちていくのだろう?
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