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瞳で抱きしめて
第5章 新生活
散歩から帰ってきた家にはまだ電気がついておらず、真理たちはまだ帰宅していないことを物語っていた。



「遅いね。連絡きてないから夕飯は家で食べるつもりだと思うんだけど」



真理からの連絡が入っていないことを確認して、私はスマホをポケットにしまうと玄関の電気をつけた。



そのままリビングまできて、電気をつけようとスイッチに手を伸ばした時だった。


その手を静かに後ろから握られる。




「光?」



また抱き締めてくるのだろうか…?




━━━━━━*━━━━━*━




告白されたあの日から、光は二人きりになると容赦なくスキンシップを求めた。


まるで弟ができたみたいで可愛いと思っていた光の豹変ぶりにかなり戸惑ったが、それ以上に困惑したのは、光に触れられることをすっかり受け入れてしまっている自分自身に対してだった。



抱き締められると、光の身体は少年ではなく男なのだと思い知らされる。


しなやかそうな外見をしているのに、がっしりしている。

力強くて、私の動きは簡単に封じ込められてしまった。

涼やかな表情をしているのに熱を帯びたように温かい腕の中。




正直、

━━━━心地よかった。





抵抗する気持ちが沸かずに、当初はそんな自分自身に失望したものだ。



年下の、未成年の男の子にこんなことを赦しているなんて。



意識していなかったけど、実は欲求不満だったのだろうかと真剣に考えたりもした。




だけど光に触れられる回数を重ねる度、思い悩む時間も、その真剣度合いも少しずつ削られていくのだった。
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