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欲情三分間〜ヨクジョウサンプンマ〜
第4章 ★★★★★★★
ボーカルのtomoがマイクを掴む。
顔を半分隠したようなヘアスタイルが、
白いシャツとタイトな黒パンツに似合う。



ギターの重低音が、
中ホールほどのライブハウスに割り込むように響く。



あたしは汗びっしょりになった額を首に掛けたタオルで拭く。


ワーワーとみんなが歓声を挙げる。

tomoが歌い始めた。


あたしはライブ後半になってもまだ痺れる胸に手を当て、
鼻声がかったtomoの歌声に陶酔する。







『あ~、よかったね!今日もー』

『ほんと、tomoの声最高だ~』
ライブハウスで知り合った友達のハナちゃんとドリンクを飲む。

『あ、ユマ明日も仕事なんだよね?』
ハナちゃんはフリーターだ。

『うん。
毎日残業手当てナシ。』
好きなバンドのライブだけがあたしのストレス解消____非日常____だ。

しがないOLですしね。
まだ2年目ですしな。




『そっかー。この後他のコと飲みに行こうかと思ったけど…………』


『あーごめん!
週末ならいけるのにな~』
あたしはハナちゃんに手を振って、
ライブハウスを後にした。





マイナーなロックバンドの大大大ファン。

週に一度はライブハウスに聞きにくる。


かなり癖がつよいバンドで、
会社にも友達うちにもファンがいない。
というか……「えー、あんなのが良いの?」と眉をひそめられることもしばしば。



あの魅力が分からないなんて!

あたしは上機嫌で一人暮らしのアパートに帰った。



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