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イカせ屋稼業
第10章 〜番外編〜
ほんやり思い出していると、
鼻孔にむせるような匂いがして振り返る。


「―――あら、
拓矢いたの。
戸田さん、あたし夕飯いらないから〜。」


下の姉だ。


吐き気に似た不快感が、
胃からせり上がってきた。


俺はさりげなさを装って立ち上がり、
「戸田さんクッキーありがとう」と告げて3階の自室に行く。



姉2人は大学生だ。


名門お嬢学校と呼ばれる大学に通っている。
それぞれ違う学校だけれど偏差値よりも〔お嬢というステータス〕を重視している学校のため、
着飾って出掛けていることのが多い。




姉の香水の匂いが、
まんま〔女のにおい〕みたいだ………


俺はステレオで音楽をかけた。

裕希が勧めた洋楽。
重いギター音がズドンと響く。


胃にあった不快感が、
ギターサウンドで紛れていくのが分かる。


俺は目を閉じて重い音を体で味わった…………………………
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