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イカせ屋稼業
第14章 そのじゅうに
『南千住まで』

拓矢は運転手にそう告げる。

「はいはーい」

運転手はミラー越しにちらっと拓矢を見遣る。

『高速、使ってください。
速く着きたいんで』


運転手はニヤリと笑み、
「ハイハ~イ、了解しましたー」と車を発進させる。


運転手にしてみれば高速を使うほうが良いのは当然。



___拓矢は、
スマホをタップした。




芸能人のゴシップ・噂ネタサイトにアクセスする。


記事を書き込んでゆく。

〔セクシー男優KANAME、極貧の居候時代!
AV業界にて名を馳せているセクシー男優・KANAME。
ガテン系ボディ・ストリートファッションに魅了される女子ファンも多い。
しかし彼の過去は貧しい居候生活だったことを知っているだろうか______________〕




拓矢は文字を打ち込んでゆく。


_____拓矢の瞳は澄んでいる。
澄んでいながら、奥には修羅の炎がゆらゆら燃えていた。




メッセージが入る。

タップして開くと、
〔南ユウジ〕とあった。


昴である。



〔拓矢くんへ

今、KANAMEと例の家に向かってるよ。
彼はコンビニに寄った。
時間潰しをしているが、精一杯潰しても1時間後には着く。
間に合うかな?〕



拓矢の唇の端が上がる。

〔南ユウジさま

十分です。高速で向かっているところです。
すみませんけど上手くヤツを誘導してください〕



〔了解!
もう少し時間稼ぎをしてみるからね〕




拓矢はメッセージを返すと、
『運転手さん。大っ変申し訳ないんですけどー。
倍速で急いでくれません?』と前座席に身を乗り出した。








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