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イカせ屋稼業
第14章 そのじゅうに
『しかし残念なことに、
師橋条には恋人がいた。
張というS会の構成員。

長く一匹狼だった師橋も恋には勝てなかったのかな…………………』



拓矢はスマホをスクロールし、
KANAMEに見せた。


『知ってる?

〔nine〕、抵当に入ってるんだよ。
キミの稼ぎもいずれ師橋の借金返済に含まれる』




KANAMEはスマホを食い入るように見つめた。

『……………嘘だ…………………………………!

次は俺がnineを背負って…………………』


ショックが大きいらしく、
あの傍若無人なKANAMEの声が震えている。

膝から崩れた。




拓矢は近寄りしゃがむと、
KANAMEを真っ直ぐ見据えた。

『報われない片思いってツラいもんね?

師橋だけじゃなくてさ』

にっこり笑い、
自分の髪をトントンとつつく。








(たく……………てか何のことだ?)
翔汰は話の流れがイマイチ掴めない。




KANAMEがハッとした。


『まさか………………………

@きんぱつ屋…………………………』





『さすが♪♪
よく分かったね!』



KANAMEはワナワナと怒りに震えた。
『テメェ………………
馬鹿にしやがったな!』
拓矢に掴みかかる。


拳銃が滑り落ちる。

が、
KANAMEは怒りに任せてそんなものは目に入っていない。



拓矢に膝を入れる。

ヒョイと身を躱す拓矢。

拳を落とすKANAME。

サッと手のひらで受け、
KANAMEの腕を捻った。



『うぐぅっ!!!』

KANAMEの背後で固める。

身動きを取れないようにする。


『テメェ………………
どうやって調べた??!
誰にも分からないはずだ!!!』


『____さあ?
それは言えないや。

ああ、キミの思い人____
想さんてステキな人だよね』



KANAMEの顔に蒼白が広がった。


『おまっ………………な、何者だ…………っ??!!』


『何者って………。
単なる拓矢だけど』


ふざけんなよ!

KANAMEが怒鳴り、
足を背後に蹴った。



拓矢がよろける。


KANAMEはニヤッと嗤うと、クルリと向きを変え拓矢の首を絞め上げた。


『ぐっ………………………』

メリメリと骨が軋んでゆく。





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