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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第31章 第十二話 【花見月の別れ】 其の弐
 しかも、あのときは、ほんの少量の血で、今日とは比べものにならない。ゆえに、お彩もおきわの病状については油断しているようなところがあった。
 迂闊であった。十日に一度ほど往診に来る老齢の町医者からも、くれぐれも病人の様子から眼を離さぬようにと言われているのだ。
 お彩は、おきわの汚れた寝衣を新しいものと取り換え、常用している薬を飲ませた。ついでに、掛け布団も自分が使っているものと換えて、寝床をきれいに整えてから、おきわに手を貸して横にならせた。以前、伊勢次と共にここで暮らした頃に使っていた布団がまだそのままになっていたので、お彩は今、それを使っている。
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