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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第31章 第十二話 【花見月の別れ】 其の弐
 すぐに竹庵の処方した薬を煎じて、おきわに飲ませてやる。何とか咳き込みもせずに薬を全部飲むことができた時、お彩は神仏に感謝したい想いでいっぱいになっていた。
 御仏は、お彩の祈りを聞き届けて下されたのだ。それに、蓮のうてなにいるはずの伊勢次も遠くからおきわを守ってくれたに違いない。
「―話しておくれでないか」
 おきわの言葉の意味を計りかね、お彩は小首を傾げた。
「倅のことを聞かせておくれ」
 お彩はハッとして、おきわを見た。おきわは、うっすらと微笑んでいた。
「私のために、水垢離までしてくれてたんだったね」
 お彩は声もなく、ただ、おきわを見返すしかない。
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