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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第31章 第十二話 【花見月の別れ】 其の弐
「申し訳ありません。私ったら、勝手にあんなことをしてしまって」
 お彩はこれまでに何度か水垢離を続けてきた。まさか、それをおさきに見られていたとは考えだにしなかった。おきわは別段怒っている風はないことだけが救いであった。
 お彩がうつむくと、おきわは笑った。
「水垢離のことを言ってるのかえ。何で、あんたが謝るのさ。礼を言わなきゃあならないのは、この私の方じゃないか。これまでさんざんあんたに辛く当った私のために、そこまでしてくれるなんてさ。私も一昨日、おさきさんが来て教えくれるまでは、とんと気づきもしなかったよ。―今更言っても詮無いことかもしれないけれど、これまで済まなかったね」
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