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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第4章 第二話【花影】-其の壱-
 お彩はこれからもずっと一人で暮らしてゆくつもりであった。ただ今日という日、二年近くもの間、ずっと頑なな態度を取り続けてきた父に対して心から詫びることができた―そのことは、お彩の心に長年降り積もった澱のようなものをきれいに拭い去っていた。
 その代わりに、あの男の面影がお彩の心の奥深く刻み込まれでもしたかのようであった。あの孤独に揺れるまなざしや深い声、そして時に見せる淋しげな横顔からは想像もできないような屈託のない表情。その少年のような邪気のない微笑がお彩の脳裡から離れない。
 去年の晩秋の日、随明寺の庫裏の奥座敷で逢って以来、男は「花がすみ」には来なくなった。
―もう二度と、あの男(ひと)には逢えないのだろうか。
 そんな絶望的な予感がお彩の心を切なくざわめかせる。男が再び店を訪れることはないと知りつつも、お彩はかすかな希望を抱いて、けして来ぬ男を待つ日々が続いていた。
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