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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第40章 第十五話 【静かなる月】 其の弐
     【弐】

 その翌日のことである。昼前のこと、お彩は店の前の道を箒で掃き清めていた。随明寺の桜が盛りの頃には掃いても掃いても道には薄紅色の花びらの吹き溜まりができたものだが、流石に花も終わりになってくると、随分と掃除が楽になる。
 「花がすみ」は狭い道の突き当たりに建っており、周囲は空き地や空き家が並んでいて、昼間でもひっそりとしたものだ。ちなみに筆屋のおとみの店は空き地や空き家が並んだ先の四ツ辻に金物屋と向かい合うように建っている。四ツ辻の向こうは打って変わって賑やかな大通りになる。
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