パソコンから！ケータイから！スマホから！無料でどこでも気軽に楽しめる官能小説サイト

第40章 第十五話　【静かなる月】　其の弐

「あの婆さんが口が悪ィだけじゃなくて、お喋りだったとは、とんと今まで知らなかったな」
　茶化すように言う。お彩は、喜六郎を見つめた。
「おとみさんも旦那さんやお店のことをとても心配してました。やっぱり、富久三さんっていう人に拘わりがあるんですか」
　喜六郎は愕いた顔でお彩を見つめた後、諦めたような吐息をついた。
「そこまでバレちまってるんじゃア、もう隠し立てもできねえな」
　喜六郎は小さく肩をすくめた。
「おとみさんは、富久三さんってお人が雲隠れしたんじゃないかっていうようなことを言ってましたけど」
　お彩が言うと、喜六郎は小さく舌打ちをきかせた。