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第40章 第十五話　【静かなる月】　其の弐

「今日、富久三が三十両を借りた肥前屋という金貸しまで行ってきた。案の定、あいつ、高利で借りてやがった。借りた三十両の他に利がついて、しめて三十五両だとよ。恥を忍んで何とかあと半月でも良いから返済期日を延ばしてくれと土下座して頼んだが、駄目だった。もう、どうにもなりはしねえんだ」
「高利で借りたんですか―」
　お彩は言葉を失った。高利貸は普通の金貸しと違い、利息にまた、利息が重なってゆく。つまり、借金は見る間に、膨れ上がってゆく仕組みになっている。そうなることが判っていながらも、この世の中には高利で借金する輩が後を絶たないのが不思議だ。