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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第42章 第十五話 【静かなる月】 其の四
さしずめ、綺羅星を散りばめた夜の空ってところか。この眼を武器にすりゃア、どんな男だって、たちどころに落ちるだろうよ、こいつは間違いなく、咲花太夫以来のいちばんの稼ぎ頭、大籬でお職を張る花魁にだって引けを取らねえほどの花形になると確信した。だからこそ、禿から仕込むわけでもねえ女郎に三十両もの大金を出したのさ。この妓にはそれだけの金も惜しくはない、そう思った私の読みは満更、外れてはいなかったようだ」
 いかにも温厚そうな笑みを浮かべて喋る浅助の双眸は、しかしながら、油断ならぬ光を放っている。この男は、亡八と呼ばれる楼主としては、まだしも血も涙もある方だ。
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