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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第42章 第十五話 【静かなる月】 其の四
「だけど、それで我が物顔して貰いたくはないものだ」
憎々しげに言い放ち、おしがは意味ありげな笑みを浮かべた。
「そうだね、あんたのように生意気な妓には〝水鏡〟なんか罰としちゃア、丁度良いんだろうけど」
と、花里がおしがに縋るように言った。
「おしがさん、それだけは止めて下さい。山吹さんは私を庇ってくれただけなんです。たったそれだけのことで、そこまでするなんて―」
おしがはなおもしばらく思案していたが、やがて、フンと鼻を鳴らした。
「マァ、既に身請け話も本決まりになった女郎に〝水鏡〟もないか。仕方ないね、京屋の旦那に免じて、それは止しとこう。だが、代わりにこれから丸二日は、おまんま抜きだ」
憎々しげに言い放ち、おしがは意味ありげな笑みを浮かべた。
「そうだね、あんたのように生意気な妓には〝水鏡〟なんか罰としちゃア、丁度良いんだろうけど」
と、花里がおしがに縋るように言った。
「おしがさん、それだけは止めて下さい。山吹さんは私を庇ってくれただけなんです。たったそれだけのことで、そこまでするなんて―」
おしがはなおもしばらく思案していたが、やがて、フンと鼻を鳴らした。
「マァ、既に身請け話も本決まりになった女郎に〝水鏡〟もないか。仕方ないね、京屋の旦那に免じて、それは止しとこう。だが、代わりにこれから丸二日は、おまんま抜きだ」