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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第14章 第六話 【春の雨】  其の壱
 だから、お彩は伊勢次に詫びることもできなかった。たとえ幾ら謝ったとしても、伊勢次の気持ちをかえって逆撫でするだけだろう。
 お彩は涙の滲んだ眼で、次第に遠ざかってゆく伊勢次の後ろ姿を見送った。伊勢次のことは男して惚れているというわけではなかったけれど、兄のように思っていた。それだけに、何か大切な人を失ったという気がしてならなかった。
お彩は、伊勢次の姿が見えなくなっても哀しげな眼でその場に佇んでいた。
その時、ひんやりとした夜風が身の傍を通り過ぎ、お彩は思わず身を震わせた。桜花の季節とはいえ、まだ夜気は冷気を孕んでいる。
たった今までの桜色の夜気がたった一瞬にして色を失ってしまったように思え、お彩は自分の身体を両腕でギュッと抱きしめた。
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