パソコンから！ケータイから！スマホから！無料でどこでも気軽に楽しめる官能小説サイト

第18章 第七話　【雪花】　其の参　

　その後、お彩にそれとはなしに伊勢次とのことを訊ねてみたりもしたのだけれど、お彩は伊勢次との結婚は考えてはいないと応えるだけで、詳しい事情は語らなかった。喜六郎もそれ以上詮索するわけにはゆかず、伊勢次とのお彩の結婚話は諦めざるを得なかったのだ。
　お彩のここ数日の変わり様に伊勢次が拘わっているとは思えず、喜六郎は何事かと訝しんだ。その日もお彩があまりにも沈んでいたので、昼から夕方まで休みを与えて、どこかでゆっくりしてこいと言ってやったのである。
　お彩がうなだれて出てゆくのを横目で見ながら、喜六郎は小さな吐息を洩らした。