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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第18章 第七話 【雪花】 其の参 
「そう、だったんですか」
 お彩は、まるで夢の話を聞いているような気分だった。陽太はそんなお彩を見て笑った。
「その頃、お絹さんはまだ伊八さんと所帯を持つ前だった。そうさな、今のお前さんを見ていると、あのときのお絹さんが帰ってきたような気になる。流石は母娘だな、似ている」
 本人は意識しているのかどうかは判らないが、二年前と全く同じ台詞を陽太は口にした。やはり、お彩の想像は当たっていたのだ。
「―お絹さんは私の初恋の女性だった」
 ボウとしていたお彩の耳に、またしても予期せぬ台詞が飛び込んだ。
「母が陽太さんの初恋の―」
 愕きのあまり言葉もないお彩に、陽太が頷いた。そのまなざしは、お彩を通り越して、はるか昔を見ているかのようだ。
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