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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第18章 第七話 【雪花】 其の参 
 お彩の眼に、花びらのように舞う雪が一瞬、薄紅色に染まったように見えた。
 春は桜。
 冬は雪。
 心の中で呟くと、陽太がふとこちらを見た。
「何か言ったか?」
「いいえ」
 お彩はゆるりと首をめぐらせ、微笑んだ。
 お彩は知っている。
 いつまでも解けない魔法はない。そして、醒めない夢など存在しないことも。
 それでも、この刻が永遠に続いてくれる奇蹟を、夢ならば醒めようにと願いながら、傍らの陽太の肩に頭を乗せる。二人は寄り添い合い、身じろぎもせず、降る雪を眺めていた。
 雪の花びらは、何もかもを覆い尽くしてしまおうとするかのように地上に降り注いでゆく。

第七話 【雪花】 了

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