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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第20章 第八話  【椿の宿】 其の弐
 だが、お彩は沈黙して応えようとはしなかった。気まずさを含んだ静寂が小座敷に満ちる。お彩を後ろから抱いたまま、市兵衛がその手をそっと乳房にすべらせる。まだ情事の名残を十分に残した、お彩の膚は熱かった。その微熱を帯びた乳房の桃色の先端が早くも尖ってゆくのを見、市兵衛は満足げな吐息を洩らした。
「今度はいつ逢える?」
 が、お彩はなおも応えなかった。市兵衛の乳房を揉みしだく手が次第に烈しさを増してゆく。お彩の手が市兵衛の大きな手をそっと上から押さえた。
 しかし、市兵衛は執拗に手を動かし続けようとし、乳房への愛撫を止めなかった。
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