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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第21章 第九話 【夫婦鳥~めおとどり~】 其の壱
しん助は父親の跡を継いで大工となった。今年十九のお彩よりは二つ上で、既に女房との間に二歳になる男の子がいる。所帯を持ってからは別の長屋に住んでいると聞いている。しん助の妹のおみつという娘が十五になり、お彩は甚平店にいる頃は妹のように可愛がっていた。
しかし、何ゆえ、しん助が今時分に「花がすみ」に来たのだろうと訝しく思った。どうやら飯を食べにきたというわけでもなさそうだ。
お彩の呑気な思考は、しん助の言葉で絶ちきられた。
「大変だ。親父さんが、伊八っつぁんが」
しかし、何ゆえ、しん助が今時分に「花がすみ」に来たのだろうと訝しく思った。どうやら飯を食べにきたというわけでもなさそうだ。
お彩の呑気な思考は、しん助の言葉で絶ちきられた。
「大変だ。親父さんが、伊八っつぁんが」