この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
Memory of Night 番外編
第3章 熱々、バレンタインデー!
「ん……」
口の中に冷たい何かが流れ込こんできて、宵は薄く目を開けた。
自分の口を晃の唇が塞いでいる。
突然のその状況にも驚いたけれど、口に含まされている液体にさらに驚いた。
おそらくは水。晃は口移しで自分に水を飲ませてくれたらしい。
宵がごくんと喉を鳴らしてそれを飲み込むと、ようやく晃は唇を離し、宵のそばからわずかに頭を離した。
「大丈夫?」
その問いかけに、つかの間ハテナマークが浮かぶ。
どうやら自分は晃のベッドに横たわっているらしい。背中から伝わる柔らかいシーツの感触と、目に映る景色でわかる。
浴室であのまま意識を手放してしまっていたのだろう。
まだ少し気分が悪かった。軽い耳鳴りもする。
「……ちょっとやりすぎだったとは思う」
「……それ、いつも言ってるセリフ」
宵はゆっくりと上体を起こした。この体に残る倦怠感も、もう毎度のことのように味わっている気がする。
灯りが消えたままの薄暗い部屋で、晃は隣に腰を下ろして宵の顔を覗きこんでいた。
二人とも服は着ていない。
一糸纏わぬ姿のままで、太もも辺りにシーツをかけているだけ。