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Memory of Night 番外編
第5章 美少女メイドを捕まえろ!
――翌日。文化祭二日目の日曜日。
この日も予想を裏切ることなく晴天だった。
晃は外に張ったテントの中で、自分のクラスの出し物である豚汁を温めていた。隣ではクラスメイト達が飾りを作ったり、ガスコンロの残りを確認している。
あと二十分で十時になる。文化祭は十時からなので、それまでに準備を終えるため、周りの屋台も慌ただしかった。
晃のクラスが粗方準備を終えた頃。
「あ、アッキー! 見つけた!」
ふいに遠くで女生徒の声が響いた。
「……ん?」
テンションの高い声に驚き、晃が振り返る。
「明ちゃん」
校舎の方から走ってくるのは、宵のクラスメイトであり学級委員の菊池明だった。
「アッキーって俺のこと?」
「うん。晃だからアッキー。ニックネームの方が覚えやすくて」
屈託のない笑みを浮かべて、明は言う。
(アッキー……)
大変可愛らしいネーミングセンスに顔を引きつらせながらも、晃は人当たりのいい優等生の笑みで応える。
明とはほんの数回話したことがある程度だったが、今までニックネームで呼ばれたことがなかったので、なんだか妙な脱力感に襲われていた。