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Memory of Night 番外編
第5章 美少女メイドを捕まえろ!
徐々に息が上がり始める。意識を少しでも他のものに向けたくて、宵は顔を伏せ、瞼を閉じた。
「だって、このゲームが終わったら着替えちゃうだろ? そのメイド服も演劇部から借りたものらしいし」
「当たり前だろ」
こんな格好、本当は死ぬほど嫌だった。文化祭じゃなかったら着ないし、鬼ごっこが終わったら速攻着替えるつもりでいる。もちろんメイクも一緒に落とすつもりだ。
「だからその前に、メイド姿の君を堪能したいの。わかった?」
「わかるかっ! このスケベ親父!」
宵は足を上げ、晃の足へと振り下ろした。ヒールはなく、素材も柔らかいゴムのようなものでできた靴だけれど、足の甲に直撃すればそれなりのダメージは与えられるはずだ。
だが晃はすんでのところで宵の足をかわした。本当に、おそるべき反射神経だと思う。
一歩離れた晃とは距離ができ、股間にあった手も離れる。わずかながらに逃げる隙ができた。
「……っ」
とっさに宵は壁との間を抜け出し、すぐそばのドアに手をかけた。教室を飛び出そうとして、窓から見えた光景にぎょっとする。
開け放したままの、向かい側のドア。そこは確か男子のロッカールームだ。