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Memory of Night 番外編
第5章 美少女メイドを捕まえろ!
「――捕まえてごらん……って言われてもなぁ」
宵は教室の窓から外の様子を窺い、大きくため息をついた。
窓からは、先ほどここを出ていった晃の後ろ姿が見える。
姿を隠すこともなく、余裕綽々な様子で歩いていくのがなんだかむかついた。
けれども熱くなってすぐに追いかけたとしても、返り討ちに合うだけ。また性的なイタズラをされても適わないので、とりあえず歩いていく方向だけ確認して深追いはしないことにする。
それに、気にしなければいけないのは晃ばかりではない。後半の鬼役も十人。一人は先ほど来て諦めて帰っていったが、その子を抜いてもまだ九人は残っているのだ。
「あー、くそっ、めんどいっ」
晃が現れたりしなければ、ここでずっと隠れて鬼たちを待ち構えていればいいだけだったのに、晃を捕まえるという役割が増えたせいで、この旧校舎から赴かなくてはならなくなってしまった。しかもメイド姿で。なんという羞恥プレイだと思う。
窓の外に視線を送りつつ、晃の行きそうな場所を考えた。
どうせ意地の悪い晃のことだ。あえて宵が避けてきた人混みに行くんだろうとすぐに見当はついた。
あとは、どう捕まえるかだけ。宵は時計に視線を移し、瞳を細めた。そして一つの作戦を頭の中でひねり出した――。