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Memory of Night 番外編
第5章 美少女メイドを捕まえろ!
目の前の人物は、大山の予想と違っていた。
一番最初に目につくのは、グレーのパーカー。フードまですっぽりかぶっているので顔は鼻から下しか見えないが、高校生にしては明るすぎる明らかに地毛ではないとわかる赤みがかった茶髪。唇も、ピンク色をしている。
そして何よりも。前の開いたパーカーから覗く、フリルがふんだんにあつらえられたメイド服が、彼女の正体を物語っていた。
「宵……? なんでここに……?」
確認の意味合いも込めて、名前を呼んでそう尋ねた。
けれども宵からの返答はない。代わりに差し出していたビニール袋を軽く揺すった。
早く受け取れということだろうか。
大山がそれを受け取り中をのぞき込むと、キャベツの横に人参も見える。
「サンキュー。……って、明は?」
宵は首を振る。
(何か急用でもできてそっち行ったのかな)
それにしても、なぜ宵が。明が持ってくるはずのキャベツを届けてくれたことも不思議だが、何より、あれほどメイド姿で人混みに出るのを嫌がり、今までずっと旧校舎に隠れていた宵が、パーカーを羽織って多少のカモフラージュをしているとはいえ、こんな場所に来るなんて、普通じゃない。