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Memory of Night 番外編
第5章 美少女メイドを捕まえろ!
ぐるんと勢いよく振り向いた宵からようやくまともに返答があり、晃はほっと胸をなで下ろした。
さ
灰色の瞳は氷のごとく冷たく、晃を射抜く視線は矢のように鋭かったけれど、ずっと無視され続けるよりはマシだ。
「大丈夫、周りには誰もいないよ」
晃はにっこりと、嫌みなくらい爽やかに微笑んでみせる。
二人は人通りの多い表通りを抜け、裏通りを歩いていた。ここはほとんど人の通りはなく、げんに今も見渡せる範囲内には誰もいない。
もちろん宵からしてみればそれだけでなく、馬鹿にされたことを怒ってもいるのだろうが、ムキになって声を荒げる姿が可愛く思えてしまってついからかいたくなるのだ。
「冗談だよ、勝手に画像送ったのは悪かったって」
晃は、立ち止まって変わらず自分を睨みつけてくる宵の隣に歩みより、何度めかの詫びの言葉をかけた。
「でも」
一拍間を置いて、宵を見つめる。晃の声のトーンの変化に、宵はわずかに開いていた目を大きくする。
「楽しかっただろ? 一生にたった一回しかない高校の文化祭。今は嫌でも、メイドのコスプレ含めて、全部いい思い出になるよ」