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闇夜の仕置人
第1章 浅田 涼子

8月の始め、蒸し暑い夜の住宅街。
一人の少女が歩いていた。

浅田涼子…中学3年生。

受験生の彼女は今日も学校の夏期講習の後、塾に行っての帰りだった。
成績は悪くはないのだが、目指す高校には少し偏差値が足りない。
帰り道も参考書を開いて知識を詰め込むのに夢中になっていた。

隙だらけだった。

建設中のマンションの前を歩いていた時。
いきなり後ろから羽交い締めされ、中に引きずり込まれてしまった。
まだむき出しの地面に放り出され、涼子は状況が判らずキョトキョトと辺りを見回す。

基礎工事が始まったばかりのそこは防音幕に取り囲まれていて、暗い。
足場の頂上に付けられた常夜灯が、涼子の足元に立つ人影を微かに浮かび上がらせていた。

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