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エブリデイ
第3章 意識した瞬間から

    ※    ※


 ようやく帰り着く――と。


「……!?」


 僕は部屋の中で、呆然と立ち尽くしてしまう。

 さっきまで灯っていた照明は消され、部屋の中は薄暗かった。


「寺井?」


 と、呼びかけるけど、返事はない。シャワーの音も聴こえず、部屋中がシーンと鎮まりかえっていた。


「……」


 僕は黙ると、手に持っていた紙袋を床に落とした。


 なんだよ、帰ったの……か。


 この状況をそうなのだと認識して、ガッカリもしてるけどホッとしてるようでもあり、僕は複雑な感情。

 でも、思わず呟いていた言葉こそ、やはり正直なのだろうか。


「ホント、寺井ってマイペースなヤツだ。なんなんだよ、一体」


 だけど、その時――。



「それは、悪かったね」


 え?


 背後からした声に僕が振り向いた――瞬間。


 ボスン――と、僕の胸に飛び込んでいたのは。


「あ……あ……!」


 僕は驚く。不意に抱きつかれたから。それもあるけど。


「て……寺井?」


 身体がメキメキと硬直している。一度、緩和した空地が一気に張り詰めた。

 照明の光がなくても、明け方の薄明かり。それで、僕はわかっている。


 今、胸の中にいる寺井夏美は――全裸、だった。
 
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