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エブリデイ
第3章 意識した瞬間から

 グッ――と、押しつけた刹那。


「ツッ……!」


 寺井の絞り出すような、その吐息が聴こえた。


「だ、大丈夫?」


「う、うん……へ、平気」


「いや、どう見ても。無理、してる……」


 ギュッと瞳を閉じ、寺井は苦悶の表情を浮かべる。

 しかし、薄く目を開けて僕を見ると、寺井は何とか微笑してみせた。


「無理しては、いけない?」


「だって……」


「キミと……だから」


 寺井が、言うから。

 僕は思わず、胸が熱くなった。


「寺井――あのさ――僕は――」


 そうして、口にしようとした言葉を――


「言わないで」


「――え?」


 寺井は、止める。


「それを、この流れで、口にされるのは……嫌だ」


「寺井……」


「色んな感情(もの)を混ぜないで。今、キミは――どうしたいの?」


「僕、は……」


 数秒の間――僕はじっと、その瞳を見た。

 そして――


「ねえ……きてよ」


 その短い言葉に、導かれるようにして――



「く――!」


「ああ――――!」



 僕は高鳴る想いの全てを、寺井の奥深くへと――届かせてゆく。

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