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エブリデイ
第3章 意識した瞬間から

「いたた……」


「ゴメン、大丈夫? 後頭部、打ったの?」


「あ、いや……平気。強打したのは、おしりだけだから」


 心配した寺井にそう返事を返しながらながら、僕は今の状況をまだ正しく把握できないでいた。

 それを、察したのは――


「そ――よかった」


 その言葉と共に、寺井が近づく気配を感じたからだ。

 そして何より、少し顔を上げた僕の視界に真っ先に入り込んだのは、天井を目がける様に『直立』した自分自身の……。


「あ……あ……」


 しかも、その向こうからは、進み来る――寺井の姿。

 左右の手をゆっくりと交互に出しながら、四つん這いの体勢で迫っていた。


「ちょ、ちょっと――なんなの? そんなに、近づかないでよ!」


 転倒のダメージが残り、とりあえず叫ぶしかできない僕。


「だってさぁ――眼鏡してないから、よく見えないんだよね」


 それをいいことに(と、思ったかどうか知らないけど)、進み来る寺井の両手は、ついに僕の膝の辺りにまで至り。


 すなわち、それは――およそ身に覚えのない――――屈辱!



 今、寺井の顔が――


「ふーん……」


 息のかかりそうな距離で、僕のいきり立つ股間を眺めていた。

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