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朝凪―あさなぎ―
第1章 朝凪
ずっとずっと話していたいけど。
ゆっくりとゆっくりと時間は経って、
ゆっくりと、でも確実に時間は経って。
あたりが漆黒の闇に薄いオレンジ色が混ざってきた。
海風はぴたりとやんでいた。
「ナツ。好きな奴は出来たか」
この話が始まると。この時間は終わりに近付いていることを意味している。
ずっとずっとこの時間が、終わらなければいいのに。
「ナツ」
それでも私の返事を待つ博之に
「好きな人、出来たよ」
そう静かに告げる。
「そうか」
博之は寂しそうに、ほんの少しだけ嬉しそうにそう言った。
「その男に決めた理由は?」
「・・・10年以上、私と一緒にいてくれるって約束してくれたから」
「・・・・・そうか」
そう。その一言を言われた時、私は泣いた。
10年以上、私と一緒にいて。
「そろそろ夜が明けるな」
海は朝凪で。
風もなく、波もなく、そこは海ではないかのように静かだった。
「好きな奴が出来たらもう会わない。この約束は覚えてる?」
海の方を見ながら博之が言った。
「うん」
ゆっくりとゆっくりと時間は経って、
ゆっくりと、でも確実に時間は経って。
あたりが漆黒の闇に薄いオレンジ色が混ざってきた。
海風はぴたりとやんでいた。
「ナツ。好きな奴は出来たか」
この話が始まると。この時間は終わりに近付いていることを意味している。
ずっとずっとこの時間が、終わらなければいいのに。
「ナツ」
それでも私の返事を待つ博之に
「好きな人、出来たよ」
そう静かに告げる。
「そうか」
博之は寂しそうに、ほんの少しだけ嬉しそうにそう言った。
「その男に決めた理由は?」
「・・・10年以上、私と一緒にいてくれるって約束してくれたから」
「・・・・・そうか」
そう。その一言を言われた時、私は泣いた。
10年以上、私と一緒にいて。
「そろそろ夜が明けるな」
海は朝凪で。
風もなく、波もなく、そこは海ではないかのように静かだった。
「好きな奴が出来たらもう会わない。この約束は覚えてる?」
海の方を見ながら博之が言った。
「うん」