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第29章 ケンチャナヨ

君と日々を重ねた今年の夏は終わろうとしている、戸外の殺風景な景色も寒々しい真冬の季節の到来を彷彿とさせる景色に変わった、しかし、遠く月日を隔てるに連れて幼い頃の記憶は加速度を増して薄れて行く一方、君と過ごした日々の冬の日溜まりのような追憶は忘れ難く脳裡に深く刻み込まれて自分自身の存在の拠り所と化している、「この家に居座るんだったらお前も家賃相当の労働力提供しろ」何て意地悪な事を云って呈の良い家政婦の如く無理矢理手コキさせて本当ごめん、君が来てくれてから死を待つ人々の家のような雰囲気はパッと明るくなった、靴下の穴ポコを縫ってくれて有難う、君に云えなかった感謝の言葉、血の通った人間の暖かい言葉で癒される筈もない程の心の傷を癒してくれて有り難う、と思案していた矢先、玄関の扉の鈴の音がカランカランって聞こえた、、誰だろう、風、「ケンチャナヨ」と云う君が戻って来るような気がした、ポンコツの彼が私を想って哭いている頃、私は脱糞した。次章に続く(･。)(っ)〜△。