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ブルジョアの愛人
第16章 危険な三分割

莉菜を性的な目で見ていたことをネタに脅したことを責められるのか。責められても仕方ない、と樹里は思った。

あのときはクラスでの地位を利用して調子に乗っていた。それがこのザマだ。それとも、愛海たちが何やらほざいている浩晃のことか――

「何で俺を避ける?」

予想外の質問だった。恐る恐る顔を上げると、大塚はびっくりするぐらい真っ直ぐな瞳でこちらを見据えていた。

「避けてないです」

「じゃあ何で金曜日職員室で…」

大塚は、金曜日に樹里が職員室を訪れたとき、声を掛けたのに樹里が返事をしなかったことを持ち出した。

「避けたわけじゃない」

樹里は呆れた。あれだけのことで樹里に冷たく当たっていたのか、と。

「じゃあ何で返事をしなかった」

思わず唇を内側に巻き込んだ。言えるわけがない。クラスメイトにいじめられているのにも関わらず、いつも通り声を掛けてくれたことが嬉しくて照れてしまったなんて。
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