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ブルジョアの愛人
第17章 午前一時のダークスーツ

あっそ、と言ったのだ。妻――いや、あの女は。

浩晃が外に女を作っていることなどとっくの昔に分かっていたのだろう。だがあの様子は、相手が小学生だろうが小学生みたいな社会人だろうが関係ない、と言っているようだった。そのせいで娘がいじめられてるんだから気を付けてよね、とも。

なぜ、追及しないのだ。

浩晃のせいで樹里が苦しんでいるのだ。怒り狂って詰問してもおかしくはないのではないのか。

娘が親の噂のせいでいじめられてるのよ、なんで相手が社会人なのに小学生にすり変わるのよ、おかしいでしょ、あなたロリコンって疑われるようなことしたんじゃないの、俺に非はないって、じゃあ何よ、樹里がクラスで恨みを買ったってこと? ふざけるんじゃないわよ――

不倫しておいてこんなことを考えるのもおかしな話だが、それぐらいのことを言われるなら納得できる。いや、実は期待していた。
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