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ブルジョアの愛人
第18章 紫陽花を添えて

水曜日の放課後は職員会議があるので、クラブ活動なしの五時間授業である。

色とりどりのランドセルが二人を追い越してゆく。真緒と肩を並べて歩きながら、優々はやはりまだ暗い顔をしていた。莉菜のことも気になるのだろう。

真緒は何から話していいか分からず、取り敢えずどうでもいいことを口にしてみた。

「最近、ビジネス街近くのアパートで殺人があったの知ってる?」

「ああ、若い男の人が殺されたやつでしょ? ここらへんってわりと治安いいと思ってたけど、物騒だよね」

「お金とか盗まれてなかったから、恨まれてたとか。怖いよね。こっちでそういう事件が起こらなきゃいいんだけど」

会話が途切れた。ニュースを観たときは怖いとは思ったが、ビジネス街など滅多に行かないし、近所とはいえ少し時間が経てば感心は薄れてしまう。仕方ないといえば仕方ない。
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