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愛する、三人のケダモノ達。
第1章 三人のケダモノたち。
「本家の母屋が火事になってね。修繕するのに一年くらいかかるのよ。おばあちゃんの介護にも結構お金使うし。で、悪いんだけどうちの息子達、そっちで一年間、みてもらってもいいかしら?」

 母の姉、志乃おば様からそんな打診があった。

 母は今、海外出張に行っているが先に相談したら難なく承諾したらしい。

 私も別に昼間は仕事だし、夜だけ寝に帰る家に特に困りはしないと返事をする。

「構いませんよ。朝陽(あさひ)兄さんは元気ですか?春海(はるうみ)君も。爽弥(そうや)君、いくつになったんでしたっけ?」

「朝陽は元気よ。時々、東京の出版社に顔を出してるみたいよ?作家の仕事は私はわからないけど。春海は今、海外で写真集の撮影。来週帰ってくるわ。そのあと、モデルは一月位お休みみたい。爽弥は高ニだけど、特待生だから二週間に一度テストを受けて、レポート提出するだけだから。」

 三人のいとこは流石、名家の息子。

 長男、朝陽は三十歳。結構有名な賞をとったり、映画化されたりとなかなか忙しい作家。小さい頃は私が遊びに行くと、優しくしてくれたっけ。

 次男、春海は二十五歳。私と同い年。二十歳前に東京でモデルスカウトされたけど、そんな名家に信用ない仕事は許されず、モデルするなら家から通う条件で活動中。

 三男、爽弥は十七歳。可愛い年下のいとこ。小さな頃から身体は弱かったけど、成績優秀。容姿端麗。

 そんな三人のいとこが来週から、我が家に来る。母は、大は小を兼ねる…の人なので、私と二人暮らしなのに別れた父の慰謝料で4LDKマンションを購入。購入すぐに、海外出張に行ってしまった母の部屋はまだないから丸々、三部屋空いてる。

「伽耶ちゃん、ごめんね。急に男だらけでむさ苦しくなるけど。本当、基本は放っておいて大丈夫だから。あ、ちゃんと朝陽に生活費出すように言ってあるからね。」

「いえ、いえ。こちらこそ、女一人で広いマンションは心細く、防犯を考えたら心強いです。」


 次の週の土曜日、三台のトラックで三人分の荷物が運ばれてきた。
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