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先生と私
第9章 夢とうつつの狭間
先生の書斎でいつものように本を読んで居た。不意に玄関のドアが開いた音がした。

「あら…どなたかお客様がいらっしゃるのかしら。」

女性の声が聞こえ、慌てて玄関へ出た。全身ブランドものに身を包み、綺麗に化粧をした女性が玄関で靴を脱いでいた。

「こんにちは…どちら様でしょうか?」

私は女性に聞いた。

「あら…あなたどなた?」

女性は私を上から下まで舐めるように見た。

「あの…先生の知り合いです。先生は今いらっしゃいませんが、少しお邪魔させていただいています。」

「あら、ケイスケさんのお知り合い?そうだったの。」

私はTシャツと短パン。その女性とは、正反対の格好をしていた。

「あのぅ…失礼ですが、あなた様は…。」

女性は暫くの沈黙の後に自分が何者であるかを答えた。

「伏見の妻です。」

女性の言葉は、分かったが、もう一度確認したかった。

「え?」

私の声は少し震えていたかもしれない。

「ですから…伏見啓丞の妻の洋子です。」

女性ははっきりといった。洋子は私の横を通り過ぎ、リビングのソファーに座った。きつめのシャネルの香りのせいかもしれない。私は少し眩暈がした。


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